ゲームのある日常

ゲームを生涯の趣味にしようと思ったオッサンの独り言。

ライフスタイルゲーム遍歴(4)モンスターハンター

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ストーリードリブンなゲームを語る際、しばしば取り上げられる問題に「プレイヤーと主人公の行動目的の乖離」というものがある。

ドラクエやFFなどのJRPGが特にわかりやすい例だろう。

主人公は世界の破滅を防ぐ、あるいは邪悪なものの復活を阻止するといった、壮大で個人の範疇を超える巨大な問題に立ち向かうべ旅に出る。時に大切な仲間を失い、あるいは見方から裏切りを受け、さまざまな艱難辛苦が降りかかる中、主人公は目的の達成ために前に進み続ける。

しかし。

ゲームをプレイする者にとってそれらの災厄や悲劇は、モニターの中の出来事に過ぎない。別にプレイヤーにその世界を救う責任はなく、救わなければならない切実な思いがあるわけでもない。

多くのプレイヤーにとって、そのゲームをプレイする目的は、あたり前のことだがそのゲームという娯楽を楽しむことである。

プレイヤーにとっての最大の関心事は、プレイヤーキャラクター=主人公を成長させ、さまざまなスキルを獲得させ、より強力でレアな武器装備をゲットし、そのキャラを持って敵を蹂躙し爽快感を得ることだ。それはゲーム内世界の命運を左右することよりも強い欲求だろう、

だから、しばしばRPGに置いては、今にも滅亡しようとしている世界の危機を尻目に主人公が闘技場やゴールドソーサーにこもってギャンブルにうつつを抜かす光景が見られることになる。

この、プレイヤーと主人公の「行動目的の乖離」をどう捉えるかは、プレイヤーによって大きく違いがあるだろう。あくまで自分の場合は、この「乖離」にどうにも違和感を覚えずにはいられなかった。RPGはあくまで主人公になりきり、その主人公の行動目的を達成することがプレイヤーとしての目的だと思っていた。だから、多くのRPGをプレイしてはきたが、そのほとんどの場合、所謂「やりこみ要素」はほとんど無視、レベルアップも最小限に留めるプレイスタイルを通していた。そして、一度主人公の行動目的を達成してしまえばそれで満足し、だいたいの場合リプレイすることもなかった。

それこそ、リプレイを繰り返したJRPGと言えば、リプレイそのものを物語性に持ち込んでいた「クロノ・トリガー」くらいのものだろう。

(参考動画・プレイヤーの建前と本音)

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前置きが長くなったが、自分にとって「行動目的の乖離」の溝を埋め、プレイヤー=主人公としてその世界に心底没入できた最初のゲームこそが『モンスターハンター』だった。

PSP3DSで展開されたシリーズ作は未プレイなので、最近のモンハンのストーリーがどうなっているかわからないが、初代のPS2版=所謂無印には、ストーリーらしいストーリーは存在しなかった。プレイヤーキャラは一介のハンターとして、より強い獲物を狩り、その素材を使ってより強力な装備を作ることになる。あくまでそれはハンターとして出世し、名誉を獲得するという、己の欲望を満たすためである。そしてそれはそのまま、プレイヤーとしての自分自身の行動目的と完全に一致していた。

 

当初は、その頃飽きを覚え始めていた「ファンタシースターオンライン」の代替品程度に考えていた。Sci Fi的な世界観のPSOとは打って変わって、少々無骨な装備を身に着け巨大生物を狩るという世界観には新鮮味を感じた。

当時は(今でもそうだけど)アクションゲームは大の苦手としており、モンハンがRPGではなくアクションゲームであるという点に懸念を感じてもいた。実際、モンハンをプレイするようになった最初の頃は、そのアクション性に大いに苦戦する。ドスランポスですら倒すのに四苦八苦、「先生」ことイャンクックは正面から勝てる気などまったくせず、所謂「高台撃ち」でなんとか仕留めるという体たらく。当然、リオレウスなど一人で狩る自信など、持てるはずもなかった。

これが、オフライン専用のスタンドアロンなゲームであったら、早々にプレイを諦め積んでいただろう。

自分がモンハンを始めた同時期、多くの知人がPSOからモンハンに鞍替えした。自分も彼らと共にオンラインでプレイする環境を得ることができた。PCのスカイプ環境を使い、ボイスチャットしながらの狩りはとにかく楽しかった。自分がヘタレのせいで三乙すると、酷く責任を感じ落ち込むこともあった。(この辺は最近のMHWでも対して変わっていない)友人たちに迷惑をかけるのが嫌で、普段ならまずしない「練習」も結構やったものだった。

そうして、気づいたときには、シングルモードで勝てるはずないと思い込んでいたリオレウスモノブロスという難敵をなんとか一人で狩れるようになるまでプレイヤースキルが向上していたのである。

難敵を倒し、装備をゲットし、そしてプレイヤーとしてのスキル向上も感じることができる。このモンハンの持つゲームサイクルの魅力に、自分はどっぷはまり込むことになる。携帯機版には手を出していないので、プレイしたのは無印とDos、triそれにPC版のフロンティアを少しだけやったに過ぎないが、それでもシリーズトータルでのプレイ時間は優に3000時間を超えているはず。

おそらく、自分が最も長時間プレイしたゲームであることは間違いない。そしてそれは、趣味生活の主軸=まさにライフスタイルゲーとしてはっきり自覚した最初の作品でもあった。