ゲームのある日常

ゲームを生涯の趣味にしようと思ったオッサンの独り言。

rain(PS3)ゲームクリア

Chapter7と8を終えてゲームクリア。

 

フルボリュームのタイトルと比較すれば小振りなのは否めないが、価格を考えれば充分それに見合ったものを与えてくれると言えるだろう。

以下、クリアした上での感想など。一部ネタバレになると思われる部分があるのでご注意ください。

終盤のステージは雰囲気的にも特に好みで、ゲームに慣れても来たこともあってか、サクサクと殆ど詰まることもなく進行することができた。難易度は全体を通してみれば割と良い感じではないかと思える。

この手のゲームにストーリーだシナリオだと、とやかく言うのも野暮だが、話の展開は良い意味でオーソドックス。つまり期待を裏切らない。ちょっとだけ、ポール・ギャリコの猫小説『ジェニィ』を彷彿とさせられた。あの街は結局なんなのか、怪物の正体は一体何かと、深読みをしようとすればいくらでも出来るとは思うが、突っ込み過ぎるのもこれまた野暮だろう。その辺のことは自分でプレイして、自分で理解するのが一番良いのではなかろうか。

ただ、やはり自由度が思った程高くなかったのが残念。ゲームはChapterで構成され、各Chapterの各場面に於いてはやることは限られている。道筋は基本的に一本道で、前のステージに戻れるわけでもない。おまけに、少女をおいかけたり怪物に追われたりと切迫した場面が多く、慌ただしく前へ前へ進まなければいけないという場面がかなりある。雨の降りしきる街を迷いつつ散策、という雰囲気はほとんどない。

無論、自由度の高さはゲームの面白さの必要条件というわけではないし、このシステムを考えればオープンワールドのような自由度はもとより望むべくもない。だから、ゲームとしての『rain』をこの一点で批判するのは的外れだろう。ただ、であれば『迷子』という言葉をゲームの宣伝に持ち出すのはいかがなものだろうか、と思わないわけでもない。

主人公の少年が出会う少女は、行く先々で少年を手助けしてくれる。どこぞの、助けてもらうだけもらっといて、手助けと言えばせいぜいヒントを指差すくらい、ちょっと無理なジャンプとかさせようとすると『ヤデス!!』とか言って拒否するヨルダさんよりは余程心強いパートナー……のはずなのだが、残念ながら印象も、親密感も最後まで希薄さがつきまとうことが否めない。これはなにより、少女とのコミュニケーションが絶対的に欠けているのが原因としか言いようがない。後半、せっかく真夜中のサーカスに迷いこむステージがあるのだから、あそこでもう少し、少女との関係を深めるようなイベントが欲しかったところである。

周回プレイの特典は街中に散らばった『思い出』を探せるというもの。トロフィーのオープン条件になっているようだが、あれだけで周回プレイをさせるのは、少し無理があるような気がする。

 

単に雰囲気を味わうだけの、インタラクティブアートではなく、きちんとゲームになっており、充分に楽しむことができる。『ICO』が好きだった人なら、文句なく楽しめるだろう。